発見する器

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県民総生産を平均所得で割ったら、現状の人口が割り出せた話。つまり発展の限界が見えた話

 発端は、「県は移住を促進しているが、本当に定着するのだろうか?」と疑問に思ったことだった。

 これを近くの人や県関係者に話すと、「その人次第だが、仕事がないわけではない。いろいろな手段で収入を確保している人もいる」という話に落ちてしまう。そのとおりだとは思うが、これは個人レベルだろう。マクロの話がミクロになっていて、「なんか違う…」という感じがいつもしていた。

 私は、地域の活性化は、ミクロではなく、マクロで考えることが重要な気がした。それは、例えば「夕張市はなぜ破綻したのか」を突き詰めることと同じような気がする。そもそも、その地域に住むことができる人数の上限は決まっているのではないか。

 私の住む高知県を例にとって計算してみようと考えた。完全な思いつきだったが、会社の経営状態をざっくり見るときと同じように、「利益÷給与=社員数」でだいたいのパイがわかるのではないか。

 高知県平成24年度の県民総生産は、県のHP(http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/111901/kenminkeizai.html)によると、2兆2,593億円(実質)である。私が生活している感じだと、みんなの給与は月20万×α(ボーナス)という感じなので、だいたい年収は300万前後だろうか。もちろんずっと多い人もいるし、まだまだ少ない人もいるが、だいたいこんな感じだと思う。全国でも都市部を除いて似たような状況だろう。

 2兆2,593億円を300万円で割ると、「75万31000」となる。

 この結果には驚いた。高知県の人口に非常に近かったからだ。調査時期に少し開きはあるが、平成27年の推計人口は73万0931人だった(http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/111901/files/2014021401751/201510.pdf)。

 この計算から私が思ったのは、「現在の高知県の人口は、適正である」ということだ。高知県の産業が持つ力は、75万人前後の生活を保障するレベルであり、移住をいくら頑張っても減り続けるというミもフタもない結論だった。逆に言うと、産業を活性化させない限り、人口を増やしたり地域を発展させたりすることは不可能ではないのだろうか。
 最近の少子化の話と似ているような気がした。年収300万円のお父さんの家庭では、共働きをしない限り、子供もせいぜい1人、がんばって2人という感じだろう。たくさん家族がいれば、そのぶん1人当たりの小遣いは少なくなるし、子供が受けられる教育の選択肢も少なくなる。もし3人目が生まれたりしたら、共働きや出稼ぎも検討し始めるはずだ。県の状態はそれ同じで、GDPが減少している(http://www.region-labo.com/archives/prefecture/kochi/)今では「子供をいっぱい産み、若い人たちが新しい仕事を創出して、経済を活性化させる」(これは私の考えた地域活性化のゴールだが)ということはなかなか難しそうだ。

 ちなみに、他の都道府県はどうなのだろうか。ランキングを見てみよう。

 ・県内総生産額ランキング(http://grading.jpn.org/SRC1101.html

 ・都道府県人口ランキング(http://uub.jp/rnk/p_k.html

 両方のランキングを見比べるとわかるが、ほぼ同じような順位になっている。東京都市圏・大阪都市圏は複数の都道府県から構成されているため一概にはわからないが、その他の県についてはほぼ同じようなランキングになっている。

 当然、「人口が多い=消費が多い」となるので、同じような順位になるのは当たり前なのだが、ではなぜ人口の違いが生まれるのだろうか?

 ・可住地面積ランキング(http://uub.jp/pdr/g/land.html

 こちらを見ると、先ほどの人口ランキングとはまた異なっているため、単純に「人が住める地域の広さ」で決まっているわけではないことがわかる(ただし、下位に並んでいる県を見ると、やはり総生産額ランキングでも下位のものが多いのである程度比例している)。ということは、収入の多い都道府県に人が集まってきているのだということがわかる。都心(日本の中心)からの交通アクセスも関係していそうだが、九州の多くの都道府県がランキング中位以上に位置しているのを見ると、一概にそれだけとも言えなさそうだ。

 

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 もちろん、お金だけで考える話ではないとはわかっているのだが、「産業(収入)がその県の生活基盤になる」というのはそこまで間違っていないのかな、とも思う。なかなか打開策を見いだせない現状を踏まえると、将来を考えても暗くなってくるのだ。